懐石料理について

日本のもてなしの料理の一つに、懐石料理があります。日本人にとっても、格式高いものであることが多い料理です。ここでは懐石料理の特徴と歴史について説明します。

懐石料理とは

懐石料理とは、もともと茶の湯のゲストにもてなしとして出される食事のことを指しました。読みは同じですが、異なるものを指す会席料理と起源は同じだったとされています。

会席料理と懐石料理の違い

会席料理とは、宴会などで提供される、酒を楽しむためのコース料理のことで、先付、椀物、向付、鉢肴、強肴、食事(ご飯と汁物、香の物)、水菓子などを順に食べていくものです。

懐石料理とは、茶の湯の前の軽食として出されるもので、お茶の前に空腹を満たし、よりお茶を楽しめるようにする料理です。会席料理とは異なり、ご飯、汁物、向付が最初に出されます。そして煮物、焼き物、吸い物、八寸などが供されます。

また、懐石料理はそうした目的から量が少ないものであることが多いため、少量のコース料理全般を懐石と呼ぶ傾向も見られます。

懐石料理の歴史

懐石料理においては、千利休発祥のわび茶が1573~1593年の間に広まった際、一汁三菜の様式が定着しました。江戸時代には、この三菜は刺身、煮物、焼き物として確立し、また「手間をかけた料理」という要素が混ざり、現在につながる懐石料理が誕生したのです。

懐石とは、火で加熱した石や暖めたこんにゃくを包んだ暖房器具を意味する言葉で、修行中の僧が客人に食べ物を出せなかったときに、せめてもの心遣いとして温めた石を渡したという故事から、料理に結びついたと言われています。