カツと天ぷら

日本人の大好きな揚げ物料理として、カツと天ぷらがあります。どちらも食材に衣をつけて油で揚げるという製法は同じですが、味や食べ方は大きく異なります。この記事では、カツと天ぷらのそれぞれの特徴についてお伝えします。
江戸時代からある天ぷら
天ぷらは、野菜、魚介類、肉に卵、小麦粉をまぶし油で揚げたものです。塩や天つゆにつけて食べるのが一般的です。地域によって使用する具にはさまざまなバリエーションがあります。
揚げ物自体は、日本には平安時代からあったようで、当時は米粉を衣にしていました。大航海時代には西洋の揚げ物が伝わり、16世紀にはポルトガル、スペインの料理を参考にした長崎天ぷらが生まれました。これは衣に味をつけているため、たれなどにつけずそのまま食べるものだったとされています。
江戸時代には、天ぷらは屋台で販売される大衆料理として人気を博しました。
パン粉を使うカツ
一方、カツは肉や魚に卵、パン粉をつけて油で揚げる料理です。魚介類だと「カキフライ」「エビフライ」などカツではなくフライと呼ばれます。ウスターソースやタルタルソースをかけて食べるのが一般的です。
天ぷらに比べるとカツの歴史は浅く、東京の銀座にある老舗の洋食レストラン「煉瓦亭」が、1899年頃に「ポークカツレツ」という名前でトンカツを提供しだしたのが最初と言われています。1930年代にはトンカツが流行し、日本中に広まりました。カツレツとは、もともとは肉にパン粉をつけてフライパンで焼くフランス料理の「コートレット(côtelette)」のことでしたが、日本では揚げ料理も含むようになっていったのです。